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ブランク加工について

レーザーの種類

溶接板金加工.comでは、レーザー加工機を活かした、製缶板金加工を行っています。こちらでは、レーザー加工を行う上で、重要となるレーザーの特徴について、簡単にまとめさせていただきました。参考にして頂ければと思います。

CO2 レーザー

レーザー加工機の中では最もよく見かけるのが、このCO2レーザーだと思います。「炭酸ガスレーザー」もしくは「シーオーツーレーザー」と読まれます。CO2レーザは、1964年にアメリカのベル研究所で発明されてもので、レーザーの歴史の初期から存在するレーザーの1つです。

名前の通り、二酸化炭素を放電等で励起して誘導放出を得るタイプの発振器です。得られるレーザの波長は10.64μmで赤外光のレーザですので、肉眼でレーザ光は見えません。波長が長いので、光ファイバーを使ったレーザーの伝送は行われず、専らミラーや特殊なレンズによってレーザーを伝送、集光します。

 

YAGレーザー

CO2レーザーはガスレーザーの代表格でしたが、YAGは固体からレーザーを取り出すので、固体レーザーの代表的なレーザーとして有名です。YAGレーザーは、CO2レーザーと同様にベル研究所で発明されたレーザーで、レーザの歴史の初期から存在するレーザーの1つです。

YAGレーザの発振は、イットリウム(Yttrium)とアルミニウム(Aluminum)とガーネット(Garnet)の結晶(Y3A15O12)にNd3+のような3価のプラスイオンをドープした結晶を励起してレーザー光を得ます。得られるレーザーの波長は基本波で1.06μmで近赤外光です。そのためYAGレーザー光も肉限では見ることはできません。しかし、CO2レーザーとは違い、YAGレーザーは光ファイバーを通すことができます。そのため、光ファイバーでレーザーを伝送できることがYAGレーザの特徴の1つになっています。CO2レーザのようにミラーによる伝送も可能なので、必要に応じてファイバー伝送とミラー伝送が使い分けられています。また、CO2レーザよりも波長が10倍短いので、材料のエネルギー吸収率がCO2に比べて高くなるのもYAGの特徴です。YAGレーザはCO2レーザほど高出力を連続波で出せませんが、レーザー発振機の中では連続波で高い出力が出せるレーザーの1つです。そのため、CO2レーザと同じくレーザー溶接やレーザー切断によく用いられるレーザです。

 

ファイバーレーザー

ファイバーレーザーは、光ファイバーの中に希土類元素をドープすることで、ファイバー自身がレーザを発振する媒体となる構造を持っています。レーザーを発振するファイバーの両端は特殊なミラーを設置しており、片側はレーザを発振するためのポンプ光は透過しても発振中のレーザは全反射するミラー、反対側は発振しています。レーザーの一部を出射光として外へ取り出して、残りを反射させる回折格子になります。右図に模式図を示します。この方式は、発振媒体である光ファイバーのコア径が非常に小さいため、YAGレーザ等の発信媒体が太い個体レーザーで問題になる「熱による光学品質の不揃い」がなく、均一なビーム品質を得られます。ただ、「高強度のパルス動作には不向き」という短所もあります。ファイバーレーザーで得られる出力も20kW程度まで幅が広く、YAGのように光ファイバーによる伝送も可能な上、発振器の構造も簡便で省スペースが実現されているので、最近ではCO2やYAGに代わって使われることも多いレーザーです。

 

ディスクレーザー

ディスクレーザーはYAGレーザーのような固体レーザと同じく、レーザーを発振する媒体が固体ですが、その形状が大きく違います。例えばYAGレーザーは、励起するYAGの結晶は円柱状のロッド型ですが、ディスクレーザーは名前の通り薄い板(円板)状です。下図を示します。薄い円盤状になっているレーザを発振する結晶にポンプ光を照射し、レーザーを発振させます。このディスクの裏面にはポンプ光とレーザの全反射ミラーがコーティングされており、ここと表面側にあるミラーとの間で反射させてレーザーを発振します。なお、ディスクの背面には強力なヒートシンクが付いているため、結晶内の温度勾配はほぼ均―になるので、ロッドタイプの回体レーザーでしばしば問題になる「熟レンズ効果」を気にしなくてもいい点は大きな特徴です。発振器の出力は数W~数kWまで幅広くあるので、レーザー溶接やレーザー切断以外にも様々な用途に適用が広がっているレーザーです。

当社では最新鋭のディスクレーザー加工機を保有しており、ブランク加工その他において使用しております。 使用度の高い金属の一部、特にアルミニウム合金は反射率が高く、また高熱伝導性や高い線膨張率と表面張力の小ささから、加工部及びその周辺部に変形が起こりやすい素材です。これらは一般的に用いられる炭酸ガスレーザーでは加工が難しいとされています。 しかし、当社のレーザー加工機ならば、そのような難加工材の加工も可能となっております。 詳しい当社のディスクレーザー加工機と製品事例は以下のページをご覧になってください。 https://yousetsubankinkakou.com/type/lazer.php

 

参考文献:図でわかる 溶接作業の実技(第2版)