Q&A・技術情報

アルミ板金加工・製缶板金加工について

アルミの溶接板金加工とは?種類や加工事例についてご紹介!

⑴ 溶接板金加工とは?

溶接板金加工とは、金属板に対し、「曲げ」「溶接」「切断」「穴あけ」「表面仕上げ」などを行うことで目的の製品や、部品の製造を行う加工方法のことを言います。これらの加工を行うことで強度の向上、軽量化、複雑形状部品の製作、さらにコストダウンといったメリットを実現することができます。

⑵ アルミ溶接板金の加工方法

1.アルミ材への曲げ加工について

まず、アルミの溶接板金のなかでも最初の工程にあたる、アルミの曲げ加工を紹介します。アルミの曲げ加工の方法には、エアーベンディング、ロール曲げなどがあります。

①エアーベンディング
エアーベンディングは、別名パーシャルベンディングとも呼ばれます。パンチ(上型)とダイ(ダイ)によってワークを3点で押さえ曲げ加工を行います。この方法では、曲げ角度を自在に設定することができ幅広く利用されます。しかし、機械のスペックや技術者に技量によって精度が左右されるため経験値が必要になる加工方法です。

②ロール曲げ
ロール曲げ加工は、複数のローラーの圧力を利用して曲げ加工を行います。2本ロール、3本ロール、4本ロール等様々なベンダー加工機があり目的に合わせて使い分けされます。

▶▶▶曲げ加工とベンダー機

 

2.アルミ材への溶接について

次に、アルミ材への溶接について紹介します。アルミ材はもともと素材特性として酸化しやすく、溶接時に酸化被膜が生成されたり、熱伝導率の高さから歪み・縮みが発生しやすく、非常に難しい加工とされています。当社のアルミ溶接加工についても下記記事にて詳細を記載しておりますのでご覧ください。

▶▶▶アルミの溶接は御社では可能ですか?

 

3.アルミの塗装

アルミは腐食しやすい特徴があるため、アルマイト処理や塗装が必要です。例えば、意匠性を重視するアルミの板金加工品であればアルマイト処理と採用し、構造物の場合は塗装を採用する場合が多くなります。塗装をする場合には、下処理後に一度下塗りをしてその上に希望の色を塗ることでアルミ材への塗装のノリ・定着が良くなります。

 

⑶ 当社で取り扱いのあるアルミ溶接板金加工材料

当社で取扱いできるアルミの板金材料としては、1000番台、2000番台、5000番台、6000番台でございます。この中でも加工実績が豊富なA1100・A5052・A6063のアルミ合金について特徴を解説していきます。

・A1100

A1100は、純度99%以上の純アルミでございます。性質上加工性、溶接性に優れているため扱いやすい素材でございます。しかし、アルミニウム強度不足の特徴が顕著に現れるため、装置などの構造物には適しません。

・A5052

A5052の特徴は、その性質上加工性に優れているということ、熱処理がされていること、さらに他のアルミ合金と比較をすると中程度の強度を有することが挙げられます。

また、A5052はアルミ合金の中で最も広く流通・使用されております。

・A6063

A6063は、マグネシウムとシリコンの合金です。特徴としては、加工性・耐食性に優れておりA5052と同様で汎用性の高い規格です。強度においてはA5052を凌ぐ。アルミの角パイプや形鋼に使用される場合が多くあります。

当社で対応可能なアルミ溶接板金の板厚および生産可能寸法

当社で対応可能な溶接板金の板厚は、1.0㎜~20㎜でございます。また、最大2mの製缶品に対応することができます。

アルミの溶接加工においては、最大1500×1500㎜の加工実績があり、板厚はt0.5~20㎜でございます。

 

⑷ 当社の溶接板金加工設備紹介

・ベンダー機

①トルンプ社製 TruBend5320

板厚4.5tで曲げ長さ3000ミリ程度の曲げに対応しています。(能力については都度問い合わせ下さい)

長尺物やステップベンドの曲げが可能なため、多品種変更の生産に向いています。R曲げ、L字曲げ・ヘミング曲げまでご要望に沿った形状に対応しています。角度センサーにより±30分の通り精度を確保いたします。

 

②トルンプ社製 TruBend7036

薄板の小物部品の曲げ加工に特化して使用しており、曲げ速度が速い為に量産加工品に非常に向いているベンダー機となります。

 

③トルンプ社製 Truma Bend V230

板厚4.5tで曲げ長さ2000ミリ程度の曲げに対応しています。(能力については都度問い合わせ下さい)

長尺物やステップベンドの曲げが可能なため、多品種変更の生産に向いています。R曲げ、L字曲げ・ヘミング曲げまでご要望に沿った形状に対応しています。角度センサーにより±30分の通り精度を確保いたします。

 

・レーザー切断機

①トルンプ社製 TruLaser5030 Fiber(L68)

トルンプ社製のディスクレーザー機で、5×10サイズの10段ストッカーを付属しています。スチール・SUS・アルミ・銅などの板材を加工し、レーザーカットのみの依頼にも対応。プログラミングによる完全自動化を行い、高精度・高効率の加工を実現しております。

 

②トルンプ社製 TruLaser5030 Fiber(L41)

トルンプ社製のディスクレーザー機で、5×10サイズの10段ストッカーを付属しています。スチール・SUS・アルミ・銅などの板材を加工し、レーザーカットのみの依頼にも対応。

プログラミングによる完全自動化を行い、高精度・高効率の加工を実現しています。

 

・マシニングセンタ

①DMG森精機製 DMG635V

正確には板金加工ではありませんが、当社の板金加工品の製造においては一次加工・追加工として本加工機を使用します。こちらのマシングセンタは小物機械加工部品の製作に使用しており、寸法精度は±0.1以下の精度加工が可能となっています。

・溶接機

①各種溶接機

溶接工12名による単品~中量産品まで多岐にわたる加工に対応をしています。建設機械業界の”強度””外観品質”を求められる製品の加工に対応し、製品によって最適な溶接方法検討し、提案を行っています。

 

当社の設備一覧に関しては下記からご覧ください。

>>保有設備一覧ページ

 

当社のアルミ板金 製品事例

次に当社が手掛けたアルミ板金の製品事例をご紹介致します。

①アルミの板金加工品

アルミの曲げ加工品です。溶接を伴う製品ではなく、レーザー加工機によるブランク工程と曲げ加工を行った製品となります。

 

加工におけるポイントとして、曲げ加工部が上げられ、アルミ材を使用した曲げ加工は曲げ箇所でアルミが延性を持つことから伸びてしまい、強度を保つことが難しいとされています。

 

適正な金型の選定と加工プロセスを踏むことで、曲げの欠陥を防止しています。

(板厚の変化・見た目での色(筋が入る)の変化があります。)

また、アルミの材質の特性として、角部に強度を持たせることが難しいといえますので、

加工を行う際には、強度も考慮した設計変更提案も重要な要素となります。

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②アルミの製缶板金加工品

アルミへの溶接を伴う製品の為、歪みと縮みが発生しやすい製品と言えます。

車両部品の為、強度が求められており、板厚に対して大きめの脚長での溶接とすることで強度出しをおこなっています。

 

※板材同士の溶接

大判の板材からの切り出しをディスクレーザー機により行っています。この程度の板厚であれば、当社のレーザー機で簡単に加工を行うことができます。(縮みは発生する。)

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③アルミ製ガード部品

こちらA5052材を使用した操作レバーのアルミ製ガード部品となります。こちらも先の事例と同じく、t6.0mmならびにt2.5mmで構成されており、溶接時における歪みならびにアルミ溶融の可能性が考えられます。

部品点数としては、6点で構成されており、特長は、ガード部品の側面に傾斜をつけている点に特長があります。この傾斜は、人が作業を行う際に、角にしていると服が引っかかる等、けがの原因となることから、その点を考慮した構造としています。

 

※ 焼き付け塗装を行っています。

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④車両用送風部カバー

軽量化のためにアルミ(A5052-H34)を使用した車両の送風部のカバーです。

アルミは切断・溶接で縮みや歪みが発生したり、適正な曲げRでないと強度不足になったりと加工が難しい材質になります。

縮みや歪みを予測して加工したり、強度不足にならない適切な曲げRで加工するなどして対応いたします。

また、この製品では開口部のパンチングメタルに市販のものを使用しています。

当社での穴あけ加工も可能ですが、縮みや歪みが大きくなってしまうため、市販の規格品を使用を提案し、縮みや歪みを抑えております。

製品の一部に規格品を使用することで、加工による縮みや歪みを抑えるだけでなく、縮みや歪みの修正にかかる工数を削減することでコストダウンにもつながりました。

アルミは加工が難しいですが、特に溶接の難易度は高く、車両用部品のように振動があるような箇所に使用される製品に関しては溶け込みやブローホールなどの溶接欠陥に注意が必要です。

一方で、あまり力のかからない装飾部についてはレーザー溶接にすることで仕上がりがよくなります。

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⑤アルミ製 装置カバー

こちらはアルミ製 装置カバーで使用する製缶板金加工品で、軽量化のニーズにお応えするためにアルミ材を使用しています。

この製缶品では、板厚が2.0mm~4.0mmまでのアルミ板を使用しており、特にアルミの4.0mm厚となると非常に切断が難しいとされています。(当社では、トルンプ製の8.0Kwのディスクレーザー加工機で対応)

また、アルミの曲げ・溶接品であることから縮み・歪みは考慮しなければなりません。

写真を見てもらうとわかるように窓枠の様な部分が4か所あり、この部分を切断した後に曲げ・溶接となる為、歪み・縮みに対する影響が大きく出てしまいます。

その為、曲げ・溶接を行う手順を十分に考慮して加工を行うことが重要で、当社ではこれまでの製作実績に基づき、加工者が独自で考え、最適な手順での加工を実現しています。

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⑥物質測定機器の保護フレーム

こちらは特殊車両で使用される(搭載される)物質測定機器を保護するために使用するカバーフレームとなります。測定機器に直接ものが当たることを避けるために上面をカバーする目的で使用されます。もともと、鉄系材料を使用されている部品でしたが、軽量化目的にアルミ材を使用することになっています。

一般的に走行する車両などでは、重心を下げ、安定した走行ができるように設計を行うことが好まれており、こちらの製品も当初鉄系材料を用いた際には、重心が問題となっており、今回アルミに置き換えることで軽量化を実現し、重心も安定した特殊車両となっています。

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アルミ溶接板金依頼時の注意点と依頼先選定のポイント

次に、アルミの溶接板金を依頼するうえでの注意点と依頼先のポイントについて解説していきます。

アルミの切断であればどの企業様でも対応することができますが、アルミの溶接板金でカギとなるのは、曲げ加工および溶接加工でございます。アルミは柔らかいという特徴があるため、曲げ加工に関しては、延びが生じてしまうため曲げRの管理が必要となります。溶接においては、アルミは熱伝導率が高く溶着不足が起こってしまう為、薄板ほど加工が難しくなります。また、縮みも発生する為、縮みのデータを持っている企業でなければなかなか加工をすることができません。つまりアルミの溶接においては実績が充分でないと対応が難しいということになります。

 

アルミ溶接板金・製缶板金加工なら『溶接板金加工.com』を運営する株式会社岩本鉄工所にお任せ下さい!

溶接板金加工.comを運営する株式会社岩本鉄工所は、石川県を拠点にベンダー加工・レーザー加工・微細加工・アーク溶接・Tig溶接・アルゴン溶接・CO2溶接・ロボット溶接を手掛けております。溶接板金の品質・スピード・コストでお困りのお客様は是非一度ご相談、お問合せ下さい。今回ご紹介した隅肉溶接におきましても対応可能ですのでお問合せ下さい。

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